省エネ 創エネ・蓄エネ

ビルの省エネ化とZEBを実現するには?導入事例を交えて解説

【こんな方におすすめ】
  • 「ZEB」「BEMS」について知りたい
  • "企業が取り組む省エネ"の基本的な考え方について知りたい
  • 自社ビルの省エネ化のための具体的な方法が知りたい
ZEBとは室内環境を快適に保ちながら、年間のエネルギー収支をゼロにすることを目指している建物のことです。ZEBが実現すれば省エネと同時に光熱費・動力費が削減できるため利益の増加に繋がります。
本コラムではどのようにZEBを実現すればいいのか導入事例を交えて詳しく説明していきます。

企業が取り組む省エネの基本的な考え方

地球温暖化など環境問題への取り組みとしてエネルギーをムダなく効率的に消費する考えが広まっている昨今、企業においても省エネを推進し、持続可能な社会の実現に貢献していく必要があります。

本章では、日本企業における省エネの現状と実現すべき省エネの考え方について解説します。

企業が取り組む省エネ施策と現状

近年、中小企業の9割近くが、「省エネに関する取り組みを行っている」または「取り組んでいきたいと考えている」との姿勢を示しており、省エネへの関心が高まっています。

しかし省エネへの関心が高まり、多くの企業が省エネを実現させるために取り組む一方で、人手不足や取り組み方がわからないという理由から苦労している企業が多いのが現状です。

参照「中小企業における省エネルギーへの取組に係る実態調査アンケート結果(概要版)

ビルの省エネ化を実現する「ZEB」という考え方

「ZEB」とは「ネットゼロ・エネルギー・ビルディング(Net Zero Energy Building)」の略で、室内環境を快適に保ちながら、建物で消費する年間の一次エネルギー消費量を正味ゼロまたはマイナスを目指した建物のことです。主な特徴と原則には以下の点が挙げられます。

エネルギー生産手段の組み込み
ZEBを実現するための要素の一つが「エネルギーを作る技術(創エネ技術)の組み込み」です。具体的には太陽光発電やバイオマス発電などの再生可能エネルギーを活用することを指します。
高い断熱性と省エネ技術の採用
日射遮蔽など外皮性能に優れた、高い断熱性をもつ材質を建築材として採用します。同時に、高効率な照明や空調などの省エネ技術を採用することで、室内環境を快適に保つために必要なエネルギー量を減らします。
エネルギーマネジメントと制御技術
エネルギーをより効率的に利用するための技術の一つが「エネルギーマネジメント」です。建物の使用電力状況をリアルタイムで見える化し、エネルギーのムダを発見し、設備の運用に役立てることができます。
ネットゼロエネルギーの達成
ZEBでは「建物で消費する年間の一次エネルギー収支をゼロ以下」にすることを目指します。省エネによってエネルギー消費を最小化すると同時に、創エネを活用することによって実質的なエネルギー消費量がゼロ以下を達成することが最終的な目標です。

「ZEB」の定義とランク

ZEBはエネルギー消費率でランクが4段階に定められており以下のランクがあります。

ZEB
基準一次エネルギー消費量から(再生可能エネルギーを除き)50%以上を削減、かつ基準一次エネルギー消費量から(再生可能エネルギーを含み)100%以上を削減した建物のことです。
Nearly ZEB
基準一次エネルギー消費量から(再生可能エネルギーを除き)50%以上を削減、かつ基準一次エネルギー消費量から(再生可能エネルギーを含み)75%以上を削減した建物のことです。
ZEB Ready
基準一次エネルギー消費量から(再生可能エネルギーを除き)50%以上を削減した建物のことです。
ZEB Oriented
ZEB Readyを見据えた建築物として、外皮の高性能化および高効率な省エネ設備に加え、更なる省エネの実現に向けた対策を講じた建物のことです。

「ZEB」が最も省エネ化を実現している状態です。定義はさまざまですが、基準一次エネルギー消費量の削減率によりランクが決まります。

建物で使うエネルギーを可能な限り減らし、太陽光発電などの再生可能エネルギーを活用しながらエネルギーをムダなく使っていくことで、ZEBを実現することが環境に配慮しながらコストも削減できるのみならず、企業イメージの向上、ひいては利益の増加にも繋がっていくと考えられます。

ビルの省エネ化とZEBを実現するBEMSとは?

「BEMS」とはオフィス・商業ビルや病院などの建物向けのエネルギー管理システムのことです。BEMSは、ZEBを実現するための中核的な要素の一つと考えられています。BEMSがZEBを実現するために果たす役割と導入メリットについて解説します。

ZEBを実現するシステム「BEMS」とは

BEMS(Building Energy Management System)は、建物内の照明や空調などビルで使用するエネルギー状況をリアルタイムで監視し、最適な制御を行うことで、ZEBの実現に向けて重要な役割を果たします。センサーデータや分析結果を活用して、効果的なエネルギーマネジメントを実現し、持続可能なエネルギー戦略を構築することができます。パソコン1台で管理できるため、どのように省エネ対策をしていいか分からず省エネに取り組めずにいた企業や、人材不足で取り入れることができなかった企業でも比較的容易に省エネ化とZEBを実現することが可能となります。

BEMSを導入する効果とメリット

BEMSを導入すれば、エネルギー消費のムダを大幅に減らすことができるため、省エネだけでなくコスト削減にも繋がります。

BEMSのデマンド制御機能を活用することで、自動的に照明のオンオフや明るさの調整、空調の温度管理を自動で行います。人材不足や多忙な業務の中で、デマンド制御により自動的に省エネに取り組むことができるBEMSは魅力的といえるでしょう。

BEMS導入の進め方

BEMS導入は、計画的かつ段階的に進めることが重要です。BEMS導入の進め方について4STEPで解説していきます。

STEP1 専門家による省エネ診断

現行のビルのエネルギー使用状況や設備の状態を診断・評価します。
診断や評価にあたっては、専門家から「省エネ診断」を受けることをオススメします。
エネルギーの使用状況や機械の種類、就業時間は企業によって特徴が異なります。そのため、専門家からエネルギーの使用状況などを詳しく調べてもらう必要があるためです。

事業ごとに使用するエネルギーや対策できる省エネ方法はさまざまであるため、エネルギーの専門家に相談しましょう。

STEP2 省エネ取り組みの判断

次に、省エネ診断をもとにして、BEMSを取り入れることで得られる削減効果や導入費用など、具体的な数値とともに相談していきます。

事業者にとってどの提案が最適解であるのか、省エネ目標を設定しながら協議していきます。
目標として、エネルギーコストの削減、環境への影響の軽減、効率的な運用の確保などを考慮し具体的な取り組みを判断していきます。

STEP3 技術・ベンダーの選定

BEMSが効果的と判断できた場合、複数のBEMS事業者から具体的な提案を受けます。 BEMSには様々なベンダーと製品があります。適切な技術を選定するために、ビルの規模やタイプ、予算、ニーズに応じてベンダーを慎重に比較検討していきます。空調を制御する場合はどこに温度センサーを設置するのか、自動制御システムはどこまで細かく設定することができるのかなど、会社に合ったシステムを導入するためにしっかりと確認をしてからシステムを導入しましょう。

STEP4 BEMSの設計・導入

選定したBEMSに基づいて、具体的なシステムの設計を行います。BEMSの導入には、通信インフラやデータの収集・蓄積のためのデータベースなどのインフラ整備も必要となります。
BEMSの導入を全面的に行う前に、小規模な実証プロジェクトを実施して検証していくことをおすすめします。この段階で問題が発生した場合には、修正や調整を行いながら本格的な導入に備えましょう。

企業におけるBEMS導入の具体事例

BEMSの導入はさまざまな建物や施設で行われており、その具体事例も多岐にわたります。以下に当社が支援させ頂いたいくつかの代表的なBEMS導入事例を紹介します

事例①ZEBランク上昇事例

エネルギー消費量をエネルギー消費量 削減率58.4%→79.4%と大幅に削減しZEBに限りなく近い建物として「ZEB」のランク上昇を実現することに成功した事例です。

BEMS導入によりエネルギー消費量に対する問題点を改善しながら効率的にZEBに取り組んだ結果といえるでしょう。

事例③来場者へのPR、社員への啓発活動事例

建物玄関に50インチサイネージを設置し「本日の電気使用量の変化」や「今年度の実績値」など具体的な情報を「見える化」しています。

具体的な省エネ効果を来場者へPRすることで企業のイメージアップをはかるだけでなく社員への啓発活動としても役立ちます。

効率的にZEBを実現するためのサービス

ZEBを実現するためには、さまざまなサービスが提供されています。ZEBを効率的に実現するためには「エネルギー使用量のムダをなくす」という点と「効率的にエネルギーを使用する」という2つに焦点をあてて検討する必要があります。
以下に、三菱電機システムサービスが提供するZEBを実現するための効率的なサービスをご紹介します。

太陽光発電システムや蓄電池システム用のEMS「SMART-Lico」

BEMSを導入した後、その効果を最大限に引き出すためのシステム・サービスが重要です。そのためには、、省エネだけでなく創エネや蓄エネといった自家消費型の再生可能エネルギーを導入することも重要です。

太陽光発電システムや蓄電池システム用のEMS「SMART-Lico」は、エネルギーの生成と貯蓄を最適化し、電力の効率的な利用を促進するためのEMSです。

「SMART-Lico」について詳しく知りたい方はこちら

簡単操作・らくらく管理で省エネを実現するBEMS「SA1-MICO」

BEMSは運用者や管理者が容易に利用できることが重要です。直感的で使いやすいユーザーインターフェースであることはもちろん、必要な情報に迅速にアクセスできるダッシュボード機能などが実運用において大切なポイントになります。
SA1-MICOは、スマートフォン感覚で簡単に照明や空調の設定・変更をすることができます。また、外出先でもエネルギーの使用量を確認することが可能です。

簡単操作のEMS「SA1-MICO」について詳しく知りたい方はこちら

ビルの省エネを実現したい企業様へ
  • 節電のための具体的な対策方法を探している
  • 省エネを推進してZEB
  • 太陽光発電の稼働状況や使用電力を「見える化」して
上記のようなお困りごと・課題をお持ちの企業さまには、EMS「SA1-MICO」がおすすめです。
まずは「SA-MICO」のサービス詳細ページをご覧ください。
サービスページを見る

この記事の監修者

三菱電機システムサービス編集部
業務・現場改善に取り組む法人のお客様向けのお役立ちコラムを発信いたします。