創エネ・蓄エネ

【2024年4月義務化】建物別BCP対策事例|取り組みのポイントや蓄電池の利活用についても解説

【こんな方におすすめ】
  • 2024年4月から義務化されるBCP対策の取り組み事例について知りたい
  • 建物・業態に合ったBCP対策のポイントが知りたい
  • BCP対策の手段の一つである「蓄電池」を利活用するメリットについて知りたい
地震・台風などの自然災害や、事故・不祥事といった人的災害など、企業の事業活動に差しさわりのある事象が起こった場合、企業自体のみならず日本経済にもダメージを与える恐れがあります。このような緊急時に備え、企業はBCP対策に取り組む必要があります。

本記事ではBCP対策の概要といった基礎的な情報から、企業におけるBCP対策のポイント、実際の取り組み事例などについて紹介します。

BCP対策とは?日本企業におけるBCP対策の実態

BCP(Business Continuity Plan)対策とは「事業継続計画」という意味です。ここではBCP対策の概要と実態について解説します。

BCP対策の目的と概要

BCP対策の目的は、自然災害や人的災害などの緊急の事態が起こった際に、企業が事業における損害を最小限にとどめ、中核となっている事業の継続、あるいは早期復旧が可能となるよう方針・体制・手順などを定めておくことです。

企業にとっては、緊急事態が起こった場合でも被害を最小限に抑えられるほか、取引先、顧客、株主などからの社会的信用や企業の価値を向上させられる、といったメリットもあります。
また、BCP対策はとくに緊急事態の影響を比較的受けやすい中小企業にとって重要です。もし有事の対応に遅れてしまった場合、事業縮小や倒産に至る危険性も高いため、できる対策から着手していく必要があります。

日本企業におけるBCP対策の実態

直近の内閣府の調査によれば、日本企業におけるBCP対策の実態は、大企業で約7割、中小企業で3割強程度の策定に留まっています。
(参考:「令和元年度企業の事業継続及び防災の取り組みに関する実態調査)の概要」

また同調査により、BCPの策定や推進にあたっての問題点や課題として、策定のための人手不足や部署間の連携の難しさ、現場意識の欠如なども挙げられています。

こうした調査結果が発表された一方で、2019年以降はパンデミックや大規模災害が発生するなど、有事の際の対応・対策の策定について注目が高まっているのも事実です。

次章では、直近のBCP対策の動向について解説していきます。

2024年4月に特定業種のBCP対策が義務化 取り組みのポイントは?

2024年4月より介護業においてBCP対策の策定が義務化されるなど、BCP対策への関心度が高まる昨今、他業種においても例外ではなく、今できるBCP対策から始めることが重要とされています。本章ではBCP対策が義務化される対象やその背景、対策の際のポイントについて解説します。

BCP義務化の対象は

現在、BCP対策の義務化が決定しているのは介護業です。2021(令和3)年度の介護報酬改定において義務化が規定され、3年間の経過措置ののち、2024年4月より全事業所でのBCPの策定が必要となりました。

義務化に対し、BCPを策定しなかった場合の罰則などは発表されていない一方で、安全配慮義務を果たしていないとみなされ、事業者は損害賠償責任を負うことになるケースも想定されます。そのため、法的責任や道義的・社会的な責任を追及されるリスクに備え、有事に備える具体的な方針・体制・手順など、BCPの策定過程で明らかにしていくことが重要です。

BCP対策のポイント

BCPを策定していく際、基本方針と具体的に運用体制を計画することが必要となりますが、もう1つ押さえておくべきポイントがあります。
それは、BCPを策定して終わりにせず、日常的に運用・策定のサイクルを回すことです。
また、緊急事態が発生~収束したタイミングで、新たな課題をもとに方針と体制を更新することも重要です。

次章では、介護関連業のほか、製造業(工場)や小売店舗といった他業種・建物におけるBCP対策の事例について紹介します。

業種・建物別 BCP対策事例4選

BCP対策は、業種や保有する建物の特性に合わせて策定することで、緊急事態に万全の体制で備えることができます。本章では、業種・建物別に4つの事例をご紹介します。

病院・介護・福祉施設におけるBCP対策事例

2024年4月より介護業でのBCP対策が義務化され、各事業所はあらゆる緊急事態に備えて万全の準備を整える必要があります。とくに病院・介護・福祉施設においては、高齢者、障がい者など災害時に支援や配慮が必要となる利用者が多いことが想定されます。そのため、有事の際にもサービスを提供することができる体制を整えておくことが重要です。

具体的には下記の3点をあらかじめ整備しておくことが必要です。

全館停電を想定した電力供給設備の用意
病院・介護・福祉施設においては、照明・冷暖房の設備のほか、医療機器を使用するための非常用電源を確保する必要があります。また災害発生から全面復旧まで、中長期的に自家発電・備蓄・自家消費ができるような創エネ設備を整えておくことも重要です。
司令塔不在時のマニュアル作成や見直し
病院など医療従事者が多い場合、とくにセンター長や部門長の医師といった司令塔を担う人物が県や市から招集を受けることもあり、一時的に指揮命令系統の変更を余儀なくされるケースも想定されます。そのため、災害時に誰が司令塔の役割を果たすのかあらかじめ決定しておくほか、対応マニュアルを作成・定期的に見直しを実施するとよいでしょう。
全職員を対象に緊急災害時の行動研修
施設利用者・職員の安否確認をはじめとする災害時の対応は、あらかじめ規定を設けマニュアルを作成しておくほか、実際に機能するのか平常時から研修や訓練を実施しておく必要があります。とくに職員全員を対象に、BCPの概要や、災害時の部門ごとの役割や対応方法などについて周知を徹底するとよいでしょう。

上記の他にも、感染症の広がりを防ぐために、おむつの備蓄や断水時に使用できるトイレの用意など、衛生面の対策についても重視する必要があるでしょう。

製造業(工場)におけるBCP対策事例

製造業におけるBCP対策については、内閣府や中小企業庁、国土交通省によって策定運用方針が示されています。とくに地震災害、台風・水害、火災の3つに対応するBCPの策定が必要です。

地震災害に対応するBCP対策
設備の耐震化をはじめ、工場内の機器が転倒することを防ぐためにアンカーを使って固定するといった設備面も備えはもちろん、従業員の安否確認のため伝言ダイヤルを使用する規定を設けておくなど、被災状況を把握する手段をあらかじめ定めておくことが必要です。また、復旧活動にいち早く従事するためには、従業員とその家族の被災を最小限にとどめることができるよう耐震診断済みの建物に住むよう指導するなど、日頃意識づけを行うことも有用です。
台風・水害に対応するBCP対策
台風などにより、長時間にわたって停電が起きる場合に備え、必要最低限の業務を継続できるよう、自家発電機を備えておくとよいでしょう。
また水害は、他の災害と比べて比較的被害の可能性を予測することができるため、気象情報に注意し早々に対応をとることで被害を最小限にとどめることができます。工場内については、重要設備の基礎を上げて設置をしておけば浸水を免れる可能性を高めることも可能です。

火災に対するBCP対策
火災については、発生からいかに早く発見し、消火活動を実施できるかが重要です。被害を最小限にとどめ、火災の被害によって影響がある顧客から迅速に連絡するとともに、周辺住民へのお詫びを行うほか、復旧費用をまかなうため、火災保険などで備えておくことも重要です。

上記の通り、最も重要なのは被災・被害を最小限にとどめることです。また、災害発生時でも安定して使用できる電力供給源の確保しておくことでいち早く復旧することが可能になるため、太陽光発電システムや定置型蓄電池システム、自家発電機といった設備を整えておくことで安定稼働を実現することができるでしょう。

自家消費型太陽光発電のポイントについてはこちらのページで解説しています。

小売店舗におけるBCP対策事例

小売業では、他の建物施設と同様に店舗や倉庫の耐震化や従業員の安全確保のための対策が必要です。しかし、店舗に被害がなかった場合であっても、地域にとっては災害時のインフラの役割を果たすことにもなるため、物流ストップや停電などを考慮した上で、計画を立てることが重要になります。

物流ストップに対応するBCP対策
災害の規模が大きければ大きいほど、物流がストップする範囲が広くなり、支援物資の調達が難しくなるケースが少なくありません。多店舗展開している小売業であれば、店舗間で連携を取る仕組みをあらかじめ整備しておくことで、地域住民への適切な支援をおこなうことも可能になります。
停電に対応するBCP対策
とくに食品など温度管理が必要な品物を扱っている場合、停電時に品質を保つための設備を整えておくことが必要です。そのため、自家発電・自家消費ができるような創エネ設備の導入がおすすめです。

オフィス・マンション(分譲)におけるBCP対策事例

オフィスやマンションといった中層~高層階の建物においては、耐震構造であることはもちろん、電気・水道などインフラ設備が整っていることが、BCP対策において重要なポイントです。とくに都心部では大地震などの災害が起こった場合でも避難所への非難は最後の手段と行政から住民へ呼びかけることも珍しくないため、マンションにおいても例外ではなくBCP対策の重要性が高いといえます。

数ある対策の中でも、昨今の電気料金の値上げなどから注目が高まっているのが太陽光発電です。一戸建てと比べてオフィスビルやマンションは、屋根や屋上など広いスペースがあるため、大型の発電設備を設置しやすく、「自家消費分で電気代を節約できる」といった付加価値によって他の建物との差別化を図ることもできます。

さらに、省エネ性能が優れている建造物に与えられる「ZEB」などの条件を満たすことができれば、社会的価値、企業・建物のイメージアップをPRするポイントにもなります。

BCP対策においては「ムダを生まない」システムの導入も

本記事では4つの業種・建物別のBCP対策について紹介しました。
どの業種・建物においても「停電」に十分に対応できる自家発電・自家消費の仕組みを導入することで、災害発生時から復旧まで最低限の活動を継続できます。そこで、本記事のまとめとして、自家発電・自家消費の代表的な設備である自家消費型の太陽光発電システムや蓄電池を最大限に活用し、「ムダを生まない」エネルギーマネジメントシステム(EMS)についてご紹介します。

余剰電力を発生させない、BCP対策に貢献する仕組み

自家消費型太陽光発電や蓄電池は導入するだけではなく、運用を最適化するEMSの導入がおすすめです。EMSで電力の使用状況を「見える化」し、電力の供給と需要を最適化すれば、余剰電力ができる限り発生しないよう調整ができ、エネルギーの自給自足を最適化することができます。

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太陽光発電・定置型蓄電池EMS「SMART-LiCO」

「SMART-LiCO」は、太陽光発電と蓄電池を統合したEMSソリューションです。自家消費型太陽光発電システムの発電エネルギーをムダなく有効活用でき、蓄電池を加えた蓄エネシステムを利用することにより、非常時のBCP対策にもお役立ていただけます。
BCP対策で太陽光発電・蓄電池の導入をお考えの方は併せて導入をご検討ください。

SMART-LiCOの機能やメリットについてもっと詳しく知りたい方はこちら

BCP対策をお考えの企業様へ
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この記事の監修者

三菱電機システムサービス編集部
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