ビジュアルシステム

サイネージ データ形式の基本|JPEG・MP4・HTMLの活用法

デジタルサイネージの導入を考えている場合、どのデータ形式を選ぶべきか迷っている方も多いのではないでしょうか。画像や動画、テキスト形式によって、表示品質や運用効率が大きく変わります。

この記事では、デジタルサイネージでよく使われる「JPEG」「MP4」「HTML」といった基本データ形式の特徴と活用法を分かりやすく解説します。

また、互換性や通信環境への影響、トラブルを防ぐための注意点も紹介しているので、デジタルサイネージの導入を考えている場合は有益な情報となるでしょう。

サイネージで使用されるデータ形式とは

デジタルサイネージでは、データ形式によって運用効率や表示品質が大きく変わります。ここでは、コンテンツの基本構成と役割、一般的なデータ形式の種類、運用全体に与える影響について解説します。

サイネージの基本構成と表示データの役割

デジタルサイネージの基本構成は、「表示用ディスプレイ」「配信ソフト(CMS)」「セットトップボックス(STB)」の3つです。デジタルサイネージは、広告や案内、ニュース、天気などの情報を視覚的に伝える役割を担っています。

例えば、商業施設ではキャンペーンを動画で表示し、オフィスビルではテキストでフロア案内を表示するなど、用途ごとに適切な形式を選択します。

データ形式を誤ると、読み込み速度が遅くなったり画質が満足いくものでなくなったりする場合があるため、運用環境に合わせたデータ形式選びが重要です。

一般的なデータ形式(画像・動画・テキスト)の概要

デジタルサイネージで利用されるデータ形式は、大きく分けると「画像」「動画」「テキスト」の3つに分類できます。それぞれの概要は、下表のとおりです。

データ形式 概要
画像 「JPEG」や「PNG」が一般的です。JPEGは、軽量で汎用性が高く、広告表示に適しています。PNGは、背景透過や高画質が必要なロゴ表示に向いています。
動画 「MP4」が標準的で、ほとんどの機器で再生が可能です。「WebM」「MOV」は環境に応じて利用されています。
テキスト 「TXT」や「HTML」が多いです。HTMLを使用すると、Webとの連携で動的な表示も可能となります。

これらのデータ形式を適切に組み合わせることで、伝えたい情報を効果的に表示します。

データ形式がサイネージ運用に与える影響

選択するデータ形式は、デジタルサイネージの表示品質、通信料、機器への負担に直結します。容量が大きい画像や高解像度の動画は、表示に時間がかかるため、動画再生がカクカクして配信遅延を招く可能性があります。

一方、テキストデータは軽量で表示の負担が少ないですが、動きやデザイン性に限界があります。そのため、用途に応じた使い方が重要となるでしょう。

例えば、イベント案内はテキストで即時更新し、ブランド訴求は動画で印象的に伝えるといった使い分けが有効です。適切なデータ形式を選ぶことで、視認性を確保しながら運用コストを抑え、安定した運用が可能となります。

サイネージでよく使われる画像データ形式

デジタルサイネージでは、画像データは訴求力を高める重要な要素です。ここでは、代表的な画像形式である「JPEG」と「PNG」の特徴、「SVG」や「GIF」が選ばれるケース、画質と軽さを両立するための圧縮と最適化について解説します。

JPEGとPNGの特徴と使い分け

「JPEG」と「PNG」は、デジタルサイネージにおける静止画で広く使われる形式です。JPEGは、写真のような色数の多い画像を軽量に保存できる特徴があります。そのため、広告用の製品写真や人物写真など、表現力が重視される場面に適しています。

一方でPNGは、可逆圧縮を採用しており、画質劣化が少ないことが強みです。背景が透明なロゴやアイコンなど、輪郭の鮮明さや透明処理が必要な画像に適しています。

表示する内容や更新頻度を考慮し、JPEGは容量を抑えたい場合、PNGは品質を優先したい場合に選択するのがよいでしょう。

SVGやGIFが選ばれるケース

「SVG」と「GIF」は、特定の目的で活用される形式です。SVGは、ベクター画像で構成されており、拡大縮小しても画質が劣化しません。ロゴやイラストなど、異なるサイズで使用したり解像度が異なる機器に使用したりする場合に適しています。

GIFは、複数の画像を連続表示することで、簡易的なアニメーションの表現が可能です。動画ほど容量が大きくならず、軽量で動きをつけられる点が強みとなります。ただし、色数が制限されているため、写真や複雑な画像には向いていません。特定用途に絞って使うことで、視認性とデータ効率の両方の確保が可能です。

画像データの圧縮と最適化のポイント

画像データはそのまま使用すると容量が大きくなり、デジタルサイネージの読み込み時間や配信効率に影響します。そのため、圧縮と最適化の技術が重要です。具体的には、画像サイズをディスプレイの解像度に合わせて調整すること、必要以上に高解像度の画像を使わない方法などが挙げられます。

さらにWebPなどの軽量フォーマットを使うことで、画質を保ちながら容量を削減することも可能です。圧縮率を上げすぎると画質が劣化するため、表示環境に合わせてバランスを取ることが重要となります。

サイネージで採用される動画データ形式

サイネージで表示する動画は、形式選定によって再生の安定性や画質に影響します。ここでは、「MP4」「WebM」「MOV」の特徴、圧縮と画質確保のコツなどを紹介します。

MP4形式の特徴と互換性

MP4形式は、デジタルサイネージでもっとも広く利用されている動画形式です。圧縮効率が高く、画質を維持しながらファイルサイズを小さくできるため、保存容量が小さい機器や高速ではない通信環境でも運用しやすい点が特徴となります。

また、多くのOSやソフトウェアがMP4形式に標準対応しているため、互換性が高く再生トラブルが起きにくいという利点もあります。例えば、駅構内の案内映像や店舗のプロモーション動画など、長時間繰り返し再生されるコンテンツにも適しています。そのため、安定した映像配信を求めるユーザーには最適な選択肢といえるでしょう。

WebM・MOVなどその他形式の用途

「WebM」や「MOV」などの動画形式も、デジタルサイネージで利用される場合があります。WebMは、Googleが開発したオープンソース形式で、特にWebブラウザを介した配信に向いています。※1

MOVは、Apple製品で高画質再生が可能な形式で、デザイン性を重視した店舗やイベント空間での利用に適しています。ただし環境によっては、再生互換性に制限があるため、運用前に機器との適合テストが必要となります。それぞれの形式の特徴を理解し、用途や配信環境に応じて選択することが重要です。

※1 出展 : IT用語辞典 e-words「WebM 【.webmファイル】」
※1 出展 : IT用語辞典 e-words「MOVファイル 【.movファイル】 .qtファイル / QuickTimeファイルフォーマット

動画データ圧縮と画質保持のコツ

動画データは容量が大きく、圧縮を誤ると読み込み遅延や画質劣化につながります。動画データを圧縮・解凍する技術がコーデックですが、「H.264」や「H.265」といった高効率なコーデックを活用することで、画質を保ちながら容量を抑えることが可能です。※2

また、効率的に運用するためには、解像度とビットレートの調整も欠かせません。

解像度とは、画質の細かさを指します。※3表示サイズに対して過剰な解像度を設定すると、ファイル容量が無駄に大きくなるので避けたほうがよいでしょう。

ビットレートとは、1秒間に処理・転送できるデータ量です。※4ビットレートが高すぎると通信負荷が増加し、低すぎるとモザイクのような四角いブロック状の乱れ(ブロックノイズ現象)が発生します。動画データに合ったビットレートの設定が重要です。例えば、フルHD解像度(1920×1080)のサイネージには、「6Mbps程度」のビットレートが最適となります。※5

配信先のネットワーク環境や再生端末の性能を考慮し、適切なバランスで各要素を調整することで、滑らかな表示と安定運用が可能です。

※2 出展 : splashtop「H.265とは? H.264との違いから仕組みや利用する際の注意点までわかりやすく解説」
※3 出展 : サイビッグネット「「解像度」ってなに?|わかる解像度」
※4 出展 : IT用語辞典 e-words「ビットレート 【bit rate】 bitrate」
※5 出展 : さくらインターネット「ビットレートとは?動画配信に適しているビットレートの設定方法や目安を解説」

テキスト・フォントデータの取り扱い

デジタルサイネージでは、文字情報の表示頻度が高く、テキストデータ形式やフォント選定が表示品質につながります。ここでは、主要なテキストデータ形式、特徴、フォント選択の影響などについて解説します。

テキストデータ形式(TXT・HTMLなど)の特徴

デジタルサイネージで使用されるテキストデータは、用途に応じて「TXT」や「HTML」などの形式が選ばれます。TXTは構造がシンプルで軽量なため、安定して表示できるのが特徴です。静的な案内表示や短文メッセージの表示に適しています。

一方、HTMLは装飾やリンク埋め込みが可能で、Web連携した動的表示に向いているのが特徴です。例えば、店舗のリアルタイム在庫状況やイベント情報をWebサイトと連携させて更新する場合に有効となります。

テキストデータ形式を選定する際は、更新頻度や表示方法を考慮し、軽量性を優先するなら「TXT」、装飾や動きを重視するなら「HTML」を用いると効率的です。

フォント選択と表示パフォーマンスへの影響

フォントの種類やサイズは、表示パフォーマンスに影響します。複雑なデザインフォントや極端に大きいフォントは描画に負担がかかり、表示遅延や、ちらつきが発生する可能性もあります。

視認性を重視する場合は、ゴシック体のようなシンプルで太めのフォントが有効です。例えば、駅の案内表示では、遠くからでも見やすいフォントを選択することで、利用者の混乱を防げます。また、使用するフォントファイルの容量にも注意が必要です。フォントファイルの容量が大きいと、スムーズな再生が妨げられる可能性があります。端末性能に合わせたフォントを選ぶことで、表示品質を維持しつつパフォーマンスを確保することが可能です。

マルチ言語表示を実現するためのデータ準備

訪日観光客や外国人利用者が多い場所では、マルチ言語表示が求められます。対応するには、文字コードをUnicode(UTF-8)に設定し、各言語に対応したフォントを用意することが必要です。Unicodeとは、国際的な文字コードの標準規格となります。※6

また、言語ごとに文字幅や行間が異なるため、表示領域を広めに設計すると表示崩れを防げます。英語、韓国語、中国語を切り替えて表示する場合は、各言語でフォントが正しく表示されるか事前確認が必要です。

多言語対応データを準備することで、利用者の利便性を向上させ、国際的な施設や観光地での情報発信力を高められます。

※6 出展 : IT用語辞典 e-words「Unicode 【ISO/IEC 10646】 UCS / Universal Coded Character Set」

サイネージ専用データ形式と配信プロトコル

デジタルサイネージ運用では、専用CMS(コンテンツ管理システム)が扱う独自データ形式や、映像を配信するためのプロトコル選定が重要です。ここでは、独自データ形式の特徴、配信プロトコルの選定基準などを解説します。

専用CMSによる独自データ形式の特徴

CMS(Contents Management System:コンテンツ管理システム)とは、HTMLやCSSなどのWeb知識がなくても、Webサイトコンテンツを効率的に作成、編集、整理、公開できるシステムです。※7

デジタルサイネージ専用CMSでは、各ベンダー独自のデータ形式が採用されることがあります。これらは画像や動画、テキストをまとめて一つの配信パッケージに変換し、対応端末で安定して再生できるように設計されています。

独自形式を用いることで、配信時の互換性問題を減らし、更新やスケジューリングの効率化が可能です。ただし、他システムとのデータ共有や将来別機種に移行する場合には、変換作業が必要になるケースもあります。

そのため、運用開始前に将来の拡張性を考慮した形式選定が重要といえるでしょう。

※7 出展 : ORACLE「コンテンツ管理システム(CMS)とは」

配信プロトコル(RTSP・HTTP)の選定基準

動画や画像をデジタルサイネージ端末に配信する際には、「RTSP」や「HTTP」などのプロトコルが使用されます。RTSPは、リアルタイム性が高く、ライブ配信や監視カメラ映像の表示に適しています。HTTPは、キャッシュ機能を生かして安定的に配信できるため、定期更新型コンテンツでの利用が多い状況です。

例えば、イベント会場の生中継などはRTSP、日常的な店舗広告配信ではHTTPを選択するなど、用途に応じた使い分けが効果的となります。

クラウド型とオンプレ型で異なるデータ処理方式

デジタルサイネージの配信管理には、「クラウド型」と「オンプレ型」があります。クラウド型は、インターネットを介してデータを管理し、複数拠点にある端末を一括で管理するものです。オンプレ型は、施設内に専用サーバーを設置し、閉じたネットワークで配信するため高いセキュリティを確保できます。

クラウド型は初期投資を抑えられ、遠隔更新に強い一方で、通信環境に依存するリスクがあります。一方、オンプレ型は安定性に優れますが、管理コストが高くなる傾向があります。運用目的や予算を踏まえて、最適な方式を選ぶことが重要です。

データ形式選定時の注意点とトラブル回避法

デジタルサイネージで使用するデータ形式を選ぶ際は、デバイスとの互換性や通信環境、表示トラブルを防ぐ方法などを考慮します。ここでは、データ形式を選定する際の重要な点を紹介します。

デバイスやOSの互換性を確認する重要性

デジタルサイネージで表示するデータ形式は、使用するデバイスやOSとの互換性を確認することが重要です。対応していない形式を選ぶと、再生できなかったり表示が乱れたりする可能性があります。

例えば、Windows系プレイヤーでは、古い機種でもMP4は安定して再生が可能です。しかし、WebMや特殊なコーデックを使った動画は再生できない場合があります。またOSのアップデートで対応形式が変わることもあるため、定期的なチェックが欠かせません。

導入前にテストを行い、実際の運用環境で正しく動作するか確認することが、トラブル防止につながります。

データ容量と通信環境のバランスを考慮する

データ容量が大きすぎると、通信や読み込みに時間がかかり、表示が遅延する原因になります。特に動画や高解像度画像は、ファイルサイズが大きくなりがちです。

通信環境が安定している場合でも、回線を占有するデータ量は少ないほうが効率的となります。そのため、コンテンツの目的に合わせて解像度やビットレートを調整し、必要最低限の容量に抑える工夫が必要です。

例えば、フルHDをHD画質に落とすだけでも容量を大幅に削減できるケースもあります。環境に応じたバランス調整が安定運用のポイントです。

表示崩れ・再生不具合の防止対策

表示崩れや再生不具合は、ユーザー体験を損なう大きな要因です。これを防止するためには、表示領域に合わせたデータサイズや解像度を選定することが重要となります。そして、利用する端末やプレイヤーで事前にテストを行い、表示が正常かどうかの確認が必要です。

フォントの互換性や特殊効果の有無も影響するため、汎用的なデザインを採用することでリスクを軽減できます。動画では、コーデックやフレームレートを統一しておくと、再生時のエラーを減らすことが可能です。

こうした事前準備により、現場での表示トラブルを大幅に減らせます。

まとめ

デジタルサイネージでは、表示する内容に合わせて、画像、動画、テキストなどの複数のデータ形式を使い分けます。JPEGやPNGは静止画に、MP4は動画に広く活用され、TXTやHTMLはテキスト表示に適したデータ形式です。

また専用CMS(コンテンツ管理システム)での独自形式や配信プロトコルの選定、クラウド型とオンプレ型の運用方式の選定も重要となります。

互換性や通信環境、表示トラブルを考慮し、適切なデータ形式を選ぶことで、運用効率と表示品質の両立が可能となるでしょう。

デジタルサイネージの導入をお考えの方へ
  • 自社に合った機器選定やデジタルサイネージシステムが分からない
  • パッケージにとらわれず自由度の高いソリューションを選定したい
  • 運用後のサポートも含めて委託したい
上記のようなニーズをお持ちの企業さまを含め、デジタルサイネージをご検討される場合は、
三菱電機システムサービスへお気軽にご相談ください。
サービスページを見る

この記事の監修者

三菱電機システムサービス編集部
業務・現場改善に取り組む法人のお客様向けのお役立ちコラムを発信いたします。