SDGs

持続可能な産業化を実現するスマートファクトリーとは?SDGs目標9達成に向けた取り組み事例を交えて解説

【こんな方におすすめ】
  • スマートファクトリー実現に向けた取り組み事例を知りたい
  • スマートファクトリー実現に向けた製品・サービスを探している
  • SDGs目標9(産業と技術革新の基盤をつくろう)の取り組みを検討している
昨今、日本の工場におけるスマートファクトリー化が急速に進展しています。スマートファクトリーはSDGs目標9(産業と技術革新の基盤をつくろう)との関連性が深く、持続可能な産業化を促進するための具体的な施策として挙げられるため、SDGsの取り組みを検討している企業様にとっては重要な取り組みといえます。しかしながら、多くの企業様がスマートファクトリー化に向け取り組んでいますが、実現に至るまでにはいくつかの課題が存在します。
本記事では、スマートファクトリーの概念から、製造業が抱える課題と具体的な取り組み事例をご紹介いたします。

スマートファクトリーとは?目的とSDGs目標9の関係性

はじめに、近年注目されているスマートファクトリーの概要とSDGs目標9の関係について解説します。

スマートファクトリーとは?

スマートファクトリーは、IoT、AI、ロボットなどの先端技術を活用して業務プロセスの改革や生産性・品質の向上を継続的に行う工場のことです。
データの活用・分析により不良率の低減や品質の安定化を実現できるほか、材料使用量の最適化や自動化による省人化などを通じて、人件費をはじめとするコスト削減にも寄与します。

経済産業省は「ものづくりのスマート化」を提唱し、第4次産業革命に対応した新しい形の工場として推進しています。なお、経済産業省が掲げているスマートファクトリーの目的としては以下の7つがあります。

・品質向上
・コスト削減
・生産性の向上
・製品化・量産化の期間短縮
・人材不足・育成への対応
・新たな付加価値の提供・提供価値の向上
・その他(リスク管理の強化)

出典:経済産業省「工場システムにおけるサイバー・フィジカル・セキュリティ対策ガイドライン」

スマートファクトリーとSDGs目標9の関係性

スマートファクトリーは、SDGs目標9(産業と技術革新の基盤をつくろう)と密接に関係しています。
SDGs目標9は、強靭(レジリエント)なインフラを整備し、包括的かつ持続的な産業化を促進するとともに技術革新を推進することを目的としています。
ここでの「強靭(レジリエント)なインフラ」とは、水道や電力、交通網、情報通信網などの社会基盤が自然災害や大感染症などの被害を受けた際に、ダメージを最小限にとどめ、早期に復旧できるようにすることを意味します。

スマートファクトリーは、主に以下の点でこのSDGs目標9の実現に貢献します。

① 持続可能なインフラの構築
デジタル技術を活用した省エネルギー型の生産設備や、IoTによる設備の最適制御などにより、持続可能なインフラの実現に寄与します。

② 持続可能な産業化と経済成長
スマートファクトリーの導入により、製造業の生産性向上やコスト削減が実現され、経済成長が促進されます。また、ロボットやAIによる自動化で、労働環境の改善も期待できます。

③ 技術革新と研究開発の推進
スマートファクトリーは、AIを活用した品質管理やデジタルツイン(仮想空間でのシミュレーション)など、最先端の技術開発の場となり、これにより新たな技術革新が生まれます

④ 中小企業の支援
クラウドサービスや低コストのIoTデバイスを活用することで、従来は大企業しか導入できなかった高度な製造技術を中小企業も利用できるようになります。

スマートファクトリー化のメリットと推進における課題

以下では、スマートファクトリー化のメリットと課題を解説します。

スマートファクトリーのメリット

・生産状況の見える化
センサーやIoTデバイスを通じて生産ラインや設備からデータをリアルタイムで収集し、可視化できます。これにより、リアルタイムでの異常やボトルネックの検出、改善ポイントの抽出などが可能となり、問題の早期発見と解決に活かすことができます。

・生産性や品質管理の向上
データ分析を通じて製造ラインの効率化や品質向上を図れるほか、ビッグデータやAI、機械学習を活用した効率的な生産計画や在庫管理が可能となります。
温度管理が必要な現場では、リアルタイムでの温度データの監視や分析を通じてさらなる品質向上が期待できます。

・自動化による省人化
ロボットやAI、IoTを活用した複雑な作業の自動化や、検品、故障検知、製造作業、計画立案などの領域での自動化を通じて、大幅な省人化を進めることができます。
これにより人件費を削減でき、人手不足の解消にも貢献します。

工場(製造業)におけるスマートファクトリー化の現状

日本の製造業では多くの企業がスマートファクトリー化の取り組みを進めていますが、現状では十分に取り組めていない企業も少なくありません。
経済産業省の「スマートマニュファクチャリング構築ガイドライン」によると、デジタルソリューションの活用による製造現場の変革について「実施し、十分な成果が出ている」企業は、「個別工程のカイゼン」では、5.8%、「製造機能の全体最適」においては4.7%にとどまっています。
このことから、先端技術を活用したスマートファクトリー化の取り組みはまだまだ道半ばであることがうかがえます。

出典:経済産業省「スマートマニュファクチャリング構築ガイドライン」

スマートファクトリー化を推進する上で製造業が抱える課題

・導入コストの課題
IoTデバイス、センサー、ネットワーク機器、ソフトウェアなどの導入に伴い、多額の初期投資コストがかかることが大きな課題となっています。また、システムの維持管理、アップデート、クラウドサービス利用料などのランニングコストもかかります。

・セキュリティの課題
スマートファクトリー化を進めると外部ネットワークとの接続が増加するため、セキュリティ上の脅威の拡大が懸念されます。さまざまなデバイスがネットワークに接続されるため、一部のデバイスが攻撃を受けるとその被害が他のデバイスやシステムにまで波及する可能性も高まります。

関連記事:安全監視と省人化を実現するセキュリティーシステムの活用事例 - 業種別ガイド

・デジタル人材の確保
スマートファクトリー化にはデジタル技術に精通した人材が不可欠ですが、多くの製造業企業では人材不足が深刻な課題となっています。具体的には、社内にデジタル技術の知見を持つ人材が不足していることや、デジタル人材の採用や育成に多くのコストと時間がかかることなどが課題として挙げられています。

スマートファクトリー実現に向けた取組み事例

スマートファクトリー化には上記のような課題はあるものの、すでに実現に向けた取り組みを進めている企業も多くあります。
以下では、スマートファクトリー実現に向けた取組み事例を3つご紹介します。

サントリー京都工場様 導入事例

サントリー京都工場様では、缶ラインの作業効率改善のため搬送自動化の検討を開始しましたが、搬送物が出てくる場所と搬送先が複数あり、スペースの問題もあることからコンベアによる搬送方式は困難でした。
そこで、複数の目的地を自由に行き来できるAMR(自律搬送ロボット)を導入。これにより搬送自動化が実現し、缶ラインの作業効率が30%改善しました。

サントリー京都工場様の導入事例について詳しく見る

ダイト株式会社様 導入事例

富山市に本社を構える医薬品メーカーのダイト株式会社様では、人手不足解消の一環として、製薬工場内の搬送の自動化へAGV(無人搬送台車)の導入を進めています。
AGVは、製造管理および品質管理の基準が一段と厳しい製薬工場への導入は難しいとされており、同社では人が重量物をパレット台車に載せて搬送していたため、運搬に伴う負担軽減が課題でした。
この課題を解消するため、最初のステップとして作業人員が少ない夜間の自動搬送(無人搬送)に着手。AGVに加え、搬送台車や台車ステーション、運行制御システム、リモートメンテナンスを導入した自動搬送システムを構築し、作業効率の向上を実現しました。

ダイト株式会社様の導入事例について詳しく見る

三菱電機株式会社 静岡製作所 導入事例

三菱電機株式会社の静岡製作所では、業務用エアコンの室外機の製造ラインで、冷媒封入作業者のミスによる不良発生を防止することを目的にスマートファクトリー化を進めています。
RFIDを活用し、製品に取り付けた電子タグのID情報を自動で読み取り、1台ごとに封入量の指示をGOT(グラフィック オペレーション ターミナル)に表示させることで、作業者のミスを防止できるようになりました。
また、設備監視システムを導入し、ガス封入作業後の実績データを上位データベースに登録することで、バックアップを兼ねた二重管理を実現しています。

三菱電機株式会社 静岡製作所様の導入事例について詳しく見る

三菱電機システムサービスのスマートファクトリー支援ソリューション

三菱電機システムサービスでは、スマートファクトリーを支援する各種ソリューションを提供しています。

自動化・省人化を推進するロボットシステム

産業用ロボットシステムの構築、運用における豊富な実績を背景に、導入前のコンサルティングから施工、アフターサービスまで、お客様の要望に応えるロボットシステムの構築、利用に必要なすべてのサービスをトータルに提供し、自動化・省人化を推進します。

【システム例】

・ビジョンピッキングシステム
ビジョンセンサで製品の向きを検知し、一定の方向に整列させ工程の搬送を行います。これにより、生産量の多いラインの自動化や、整列作業、包装機供給作業の省人化を実現することが可能です。

・トレーチェンジャー式部品供給システム
トレーチェンジャーとロボットを組合せ、部品供給を行います。これによりトレーの段バラシと部品供給の自動化や、装置への部品供給の自動化などが可能となります。

・移動式ケーサーシステム
ロボットで自動箱詰めを行うセルです。生産ライン間を移動させることができ、稼働率の低いラインの自動化や、生産計画に合わせた人員配置を容易にします。

ロボット/AGVシステムのご紹介

見える化提案により生産性を向上する工場向け監視・制御システム「SA1-Ⅲ」

「SA1-Ⅲ」は、工場の生産設備やユーティリティ、受配電設備、さらに空調・照明機器まで遠隔で監視・制御し、稼働実績やエネルギー使用量を可視化するソリューションです。
生産設備(装置)をネットワーク化し、製造実績や稼働状況を自動収集できるほか、複数ある設備の稼働状況をオーバービューでモニタリングし、生産計画と実績をリアルタイムで表示することで進捗管理を実施できます。
また、設備ステータスをグラフで表示し、故障要因を分析することも可能です。

工場向け監視・制御システム「SA1-Ⅲ」

この記事の監修者

三菱電機システムサービス編集部
業務・現場改善に取り組む法人のお客様向けのお役立ちコラムを発信いたします。